システムエンジニアリングが生み出す究極のコンポーネンツ レースの新時代を拓いたシマノの挑戦の歴史

システムエンジニアリングが生み出す究極のコンポーネンツ
レースの新時代を拓いたシマノの挑戦の歴史

最新のデジタル技術とシステム工学の粋を集めた「DURA-ACE」。常にレースの新時代を拓いてきたこのコンポーネンツが誕生したのは、今を遡ること約半世紀前の1973年。シマノはアメリカ市場での成功をもって、次なる市場としてヨーロッパに狙いを定めました。参入にあたり、ヨーロッパで盛んなロードレース市場を避けて通ることはできません。シマノにとって全く初めてのレーシング用高級部品というジャンルへの挑戦はここから始まったのです。ヨーロッパではすでに、硬くて軽いアルミ製の部品が使われるようになっていました。そこに、シマノ初のアルミ合金素材、ジュラルミンを採用したコンポーネンツ「DURA-ACE」を送り込んだのです。以降、DURA-ACEは幾度にもわたる改良と進化を重ね、レースの歴史と歩みを共にしてきました。

STORY

勝利の実績を積み上げ、世界に知られるコンポーネンツに

ヨーロッパのロードレース市場への参入は果たしたものの、当時DURA-ACEの名を知る者は、レース関係者でさえほぼ皆無でした。とにかく認知してもらおうと、シマノはヨーロッパの様々なレーシングチームにDURA-ACEを提供。その中で、ベルギーのプロチーム「Flandria」と正式にスポンサー契約を結ぶことに成功しました。レースへの実戦投入により、選手やメカニックから得られたフィードバックは、本場レースの過酷さを知る非常に貴重な情報となりました。それをもとに品質の改良・改善を重ねていくうち、徐々にDURA-ACEの名が知られるようになり、DURA-ACEを使用したいというチームも増えてきました。1978年には初のモデルチェンジを果たし、フリーハブや11Tトップギアなど数々の最新機能を採用した、EXシリーズをリリース。これにより、ヨーロッパにおけるDURA-ACEの地位は確かなものとなりました。1980年にリリースしたAXシリーズは、空気抵抗を際限まで減少させるエアロダイナミクスを取り入れ、驚きをもって市場に迎えられました。さらに1984年の7400シリーズでは変速の位置決め機構「SIS(シマノ・インデックス・システム)」を開発。過酷なレースにおいて、ミスのないシフトチェンジを可能としました。そして1990年、STI(シマノ・トータル・インテグレーション)思想のもと、シフト操作とブレーキ操作を1本のレバーで行うデュアルコントロールレバーが誕生。ハンドルから手を離さずに行える変速操作は、レースシーンを大きく変えました。2009年には、変速システムに電子制御を導入。DI2(デジタル・インテグレイテッド・インテリジェンス)による変速制御は、圧倒的なストレスフリーを実現し、多くのレーサーの支持を得ています。

「1グラムでも軽く」を追求し続ける技術革新

DURA-ACEはシフトおよびブレーキ操作のストレスフリーのみならず、勝利のカギとなるスピードに直結する軽量化についても、素材や加工技術などの技術革新を進めてきました。1996年リリースの7700シリーズではクランクアームを中空構造とすることで、コンポーネンツ全体で約500gもの軽量化と高剛性を両立することに成功。

さらに2008年リリースの7900シリーズでは、チェーンリングを中空化し、さらなる軽量化と剛性アップを実現。そして2012年にはクランクアームとチェーンリングに中空接着技術を用いたフロントチェーンホイールセットをリリースしました。

ロードレーシングコンポーネンツの次なる領域へ挑戦を続けるDURA-ACE。

それは、シマノの挑戦の歴史そのものでもあります。

SERIES

1973
初代 DURA-ACE
duralumin(アルミニウム合金)とdurability(耐久性)からとったDURAと、ACE(最高のもの)を掛け合わせて命名。1973年にはプロチームへ供給を果たし、ロードレース部品としての第一歩を踏み出しました。チームの積極的な協力を得て、技術部門や製造部門が一体となってデザイン性や機能性にこれまでにない品質を追求し、徐々にその認知度を高めていきました。
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1976
DURA-ACE 10
トラック用コンポーネンツとしてリリース。チェーンのピッチを共通規格である12.7mmから10mmへ変更することで、フロントチェーンホイールやスプロケットの小型化が可能となり、大幅な軽量化を実現しました。1976年の世界選手権プロスプリントにおいて、同製品を搭載した自転車でジョン・ニコルソン選手が優勝を果たしました。
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1978
DURA-ACE EX 7200 シリーズ
初期モデルでのレース経験を活かし、変速性能やメンテナンス性を向上。「自転車は部品を組み合わせた集合体ではなく、相互に機能し合うコンポーネント(構成部品)の集合体である」というシステムコンポーネンツ設計思想の基本に沿った製品であり、「原点のコンポ」と謳われました。いまや常識となっているフリーハブや、11Tトップギアなど数々の画期的な先進機能を搭載しています。
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1980
DURA-ACE AX 7300 シリーズ
ロードレースの永遠のテーマである空気抵抗の低減に挑戦。徹底的に各部品のエアロ形状と軽量化を進めました。エアロダイナミクスの効果を最大限に発揮するために、巨額の資金を投入して社内に風洞実験室まで完備。当時の経営陣の本気度がうかがいしれます。
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1984
DURA-ACE 7400 シリーズ
レースに勝つための機能を徹底的に追求したシリーズ。基本性能の向上にフォーカスしました。さらに、シフトレバーに変速位置決め機構を搭載したSIS (シマノ・インデックス・システム)を開発。素早く確実な変速を可能にした当機構は、変速システムにおけるエポックメイキングな進化となりました。また、1990年には、パーツ個々の機能をもった技術を有機的に統合し、システムとしてさらなる価値を追求するSTI(シマノ・トータル・インテグレーション)コンセプトに基づいた開発によって、デュアルコントロールレバーが誕生。1つのレバーでシフトとブレーキ操作を可能にしました。この開発は、その後のレースシーンを大きく変えるものとなりました。
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1996
DURA-ACE 7700 シリーズ
レーサーの精神的ゆとりにまで踏み込んだ「ストレスフリー」コンセプトのもと、軽量化、耐久性、操作性すべてを見直し誕生した7700シリーズ。部品それぞれのほんのわずかなガタつきまで解消するなど、こだわり抜いた設計を施すとともに、9スピードのHGカセットスプロケットの搭載や中空構造クランクアームの採用など最新の機能を搭載。前モデルと比較し、全体で約500gもの軽量化に成功しました。
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2004
DURA-ACE 7800 シリーズ
3つのSからなるキーワード「スピード」「スムーズ」「ストレングス」の融合を追い求め、ライダーのパワーを100%推進力に変換することを目指しました。デュアルコントロールレバーにはエルゴノミクスを導入し、レバーアクションがしやすく、かつ握りごこちを追求した形状を実現。HOLLOWTECH Ⅱクランクセットはボトムブラケット一体構造を採用することで、軽量化と剛性を両立しました。特別な印刷を施した美しい仕上げや10スピードの実現など、さまざまな角度から性能の向上が図られました。
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2008
DURA-ACE 7900 シリーズ
2009
DURA-ACE 7970 シリーズ
アウターチェーンリングに中空構造を採用した「HOLLOWGLIDE」やハンドル周りのシフトケーブルの内蔵化など、高精度、高剛性、スムーズさをさらに追求しました。また、エレクトロニクスとの融合で生み出された新たなシステム「DI2(デジタル・インテグレイテッド・インテリジェンス)」を導入し、電動変速バージョンも完成させました。圧倒的なストレスフリーを実現し、レースシーンに新たな可能性を提案しました。
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2012
DURA-ACE 9000 シリーズ
2013
DURA-ACE 9070 シリーズ
「コンセントレーション」「コントロール」「コンフィデンス」の3つのCをキーワードに一つひとつの部品を一から見直し、剛性、耐久性、精度、操作性などさらなる高みを目指しました。4アームクランクを採用するとともに、高い中空率を実現し、圧倒的な軽量化を実現。翌年にはDI2モデルをリリース。E-tubeシステムによりPCとリンクし、変速のカスタマイズが可能になるとともに、シフトスイッチの拡張や内蔵仕様の進化など、前モデルからさらに進化を果たしました。
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2016
DURA-ACE R9100シリーズ/
R9150 シリーズ
「System Supremacy」コンセプトのもと、至高のシステムを追求。ディスクブレーキの採用によって、レースのさらなる高速化に貢献しました。日本の水墨画をイメージして採用したブラックカラーをベースとしたグラデーションデザインは、力の流れを表現し、日本人ならではの表現のこだわりを印象付けています。変速(メカニカル/DI2)、ブレーキ(リム/ディスク)と、ライダーのニーズに合わせた幅広いラインアップを提供しています。
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