ニーズを捉えた新時代のリアディレイラー・スカイラーク

ニーズを捉えた新時代の
リアディレイラー・スカイラーク

スポーツ自転車の普及に伴い、内装から外装へと変速機の主流が変化する中、シマノが市場ニーズを掴みリリースしたリアディレイラーが「スカイラーク」です。新しく開発された独自のサーボパンタ機構は、その革新的な機能がマーケットで大いに受け入れられ、その後の製品にも次々と採用されていきました。10年以上にわたって生産されたスカイラークはロングセラー製品として、国内外で多くの自転車に搭載されました。

STORY

1967年、アメリカの完成車メーカー社が来社

待望のリアディレイラーとシマノアメリカの存在

スカイラークのリリースから2年さかのぼった1965年、対米輸出が軌道に乗っていたシマノは、アメリカに現地法人「SHIMANO AMERICAN CORPORATION(シマノアメリカ)」を設立しました。初代社長を務めた島野喜三は、マーケット動向や新たな製品ニーズなどの情報収集に加え、小売店への技術指導やクレーム処理などのアフターサービスも拡充するなど、アメリカにおけるシマノ製品の信頼を築いていきました。シマノアメリカを設立した1965年は、内装変速機「3スピードハブ」の月産が10万個を突破するなど、市場シェアが急速に拡大。これは、アメリカでハイライザーという車種が大流行し、この自転車にシマノの3スピードハブが搭載されていたことも追い風となっていたのです。しかしその後、よりスポーティなライドを楽しめる多段化を求める声が高まり、変速機のニーズが内装から外装へと変化していきます。当時3段変速が限界だった内装変速機から、5段変速が可能なリアディレイラー(外装変速機)の開発が待望されたのです。こうした市場の動きをいち早くキャッチしたシマノは、1967年、満を持してリアディレイラー「スカイラーク」を誕生させました。

シマノ独自のサーボパンタ機構を搭載

スカイラークに搭載した独自のサーボパンタ機構では、2つのバネによるダブルテンション構造を採用することによって、ガイドプーリーがスプロケットの歯先から常に一定間隔を保つように追従して移動します。これにより、スプロケットのギア比がどのような組み合わせであっても、またフロントのダブルギアを選択した時であっても、安定した変速性能を実現しました。サーボパンタ機構はシマノのリアディレイラー構造の基礎となり、これ以降さらに発展して進化を続けていきます。

製品名であるスカイラークは「ひばり」の意で、変速機につけられた2つのバネがチュッチュッと動く様子がひばりの羽の動きを連想させるため、この名がつけられました。以後しばらくの間、シマノのリアディレイラーの各モデルには鳥の名前が用いられることとなります。

スカイラークの登場後もシマノは次々と多様な変速機を投入し、「シングルフリーホイールと3スピードハブのメーカー」から「変速機のシマノ」として歩んでいきます。