サイクリングの可能性を広げた
新しいペダリングシステム

1970年代後半からペダルに参入したシマノは、DD(Dyna-Drive)ペダルなど、独自性を追求しながらペダルの付加価値を高めるべく、さまざまな製品を展開していきました。1980年代に入ると、スキー業界ですでに開発されていたブーツと板を固定するビンディングシステムを自転車のシューズとペダルに応用した製品がLOOK社から発売されました。ロードレースの世界に登場したこの「クリップレスペダル」は、瞬く間に広がっていきました。シマノは、1987年にLOOK社と提携。DURA-ACEシリーズにクリップレスペダルを投入するとともに、翌年にはサイクリングシューズにも参入。さらに、シマノ独自のオフロード用ビンディングシステムの開発に着手しました。そして、ペダリングの操作性と着脱の容易さとともに、バイクを押したり、担いだりすることも必要なオフロードでの歩行性も兼ね備えた新しいシステムが誕生。1990年、「Bike it or Hike it」のキャッチコピーのもと発表されたこの新しいペダルとシューズのシステムは、「SPD(Shimano Pedaling Dynamics)」と名付けられ、オフロードシーンのスタンダードとなりました。また、他社のシューズメーカーにも互換性を持った製品づくりを呼び掛けるなど、業界全体でSPDを推進していく体制をつくり上げ、SPDはサイクルスポーツ用ペダリングシステムのスタンダードとして広まっていきました。