プロジェクトストーリー
PROJECT STORY 02
プロジェクトストーリー
オーバー200kgを
この手に掛ける
最高峰の海釣り用スピニングリールで挑む極限の世界。アングラーの夢を手繰り寄せるのは、徹底された三現主義。
PROJECT MEMBER
-
K.Yさん
所属部署
釣具事業部
釣具企画部
リール企画課
入社年 2007年 -
K.Oさん
所属部署
釣具事業部
釣具商品開発
リール開発設計二課
FT信頼性保証課
入社年 1997年 -
Y.Oさん
所属部署
プロセス品質統括部
品質保証部
FT信頼性保証課
入社年 2019年
PRODUCT
シマノのオフショアスピニングリール最高峰「STELLA SW」。
大型魚をターゲットとするルアーフィッシング向けに進化を続けてきたSW(ソルトウォーター)専用フラッグシップ機が2025年、より高い堅牢性と洗練されたキャストフィーリングをまとい、フルモデルチェンジを遂げました。大海原を舞台にアングラーが夢を掛ける渾身の一投。それを支えるのは、チーム一人ひとりが大切にしている「現場を知る」力です。
スピニングリール
STELLA C2500S XG
大型化するターゲットに応えるために
企画:何を変えるべきか、何を守るべきか。フラッグシップリールの進化には、その見極めが不可欠です。ヒントを得るため、私たちは何度も現場に足を運びます。船宿様や販売店様から寄せられる釣り人の声、使用環境による損傷の実態を見聞きし、時には自ら実釣を行いながら現状を検証し、要求性能を企画書へ落とし込んでいきます。
近年におけるターゲットの大型化は、今回の企画で特に大きく焦点を当てた要素の一つでした。200kgを超えるクロマグロが掛かる機会が増えたことや、釣り糸の進化によって強度が向上したことにより、近頃主流となってきたタックルの使われ方はリールに高い負荷をかけ、ドラグにはこれまで以上の耐久性が求められることがわかってきました。リールに求められる堅牢性や耐久性が上がったことはもちろんのことですが、25000番というクロマグロのキャスティングゲームに向けた新しい番手の企画が生まれたのは、このような市場背景がありました。
自分が欲しいと思える
リールを目指して
開発:今回のモデルチェンジでは、キャスト性能全般のブラッシュアップを図ることがメインの開発テーマでした。そこで、ライン放出抵抗を減らし飛距離を向上させる最新技術「インフィニティループ」をSWシリーズに初めて採用しました。
しかし、大物狙いの大一番で不可欠な「ライントラブルレス」と「キャストフィールの向上」の両立は容易ではありません。SWに最適な糸巻きピッチを割り出すため、数多くの試作品を作り、実投テストや実釣で検証を繰り返す過程には苦労もありました。
私たちは開発者であると同時に、一人の釣り人です。実釣を通して「自分が欲しいリール」を考えるからこそ、アイデアが湧いてきます。魚が掛かった時の巻き上げ負荷を軽くしたい…より遠くへ投げられるようにしたい…大型魚を確実にキャッチできるドラグが欲しい…など。現場で感じた改善ポイントに対し、具現化できる構造を考え出し、試作品ができれば再び現場へ。こうした積み重ねが、猛烈な走りを受け止めることのできるXXタフドラグや、パワフルな巻き上げが可能なインフィニティドライブの開発などにつながりました。
釣り人として自分が使い続けたいと誇れるSTELLA SWを、ぜひ多くの方に体感していただきたいです。
お客様の満足とシマノ品質を守り抜くボーダーライン
品質保証:現状を正しく把握するには、私自身が一人の釣り人として実際に製品を使い込むことが理想です。積極的に現場へ赴き、様々な釣種・仕掛け・環境で快適に使えるか検証します。
とはいえ、実際に無数の実釣を重ねるわけにはいきません。現場環境や経験を数値や試験に落とし込み、正確な判断を効率良く行うことが、品質保証の大きな役割となります。そこで一例として、大型クロマグロの引きを再現する試験環境を構築しました。ターゲットはどれほどの速度で走るのか、ドラグはどれほど締めるのか、ラインテンションはどの程度か、キャッチまでに要する時間は…。こうした要素を一つずつ拾い上げ測定し、自身の経験やテスターとの会話を踏まえて試験条件を作り込みました。
日頃からお客様のご指摘品を確認する中で得た知見も、品質基準を設ける上で重要な判断材料になっていきます。今回も、年々大型化するターゲットに対応するため、従来品の破損状態から考えられる改善ポイントを早期に社内へ共有しました。それでも、ボディの大型化を避けながら耐久性・強度を高めるにはさらに多くの試行錯誤が必要で、寸法ひとつで性能が左右されるシビアな調整を、開発と協力しながら地道に進めていきました。リール性能は常にトレードオフの上に成り立ちます。強くすれば重くなり、軽くすれば弱くなる。性能を伸ばす部分は開発が主体的に考えますが、削ってよいステータスの見極めは難しい場合もあります。そこを経験と情報で補いながら、適切な品質基準(ボーダーライン)を定めることが品質保証の役割です。
製品の使われ方や環境はマーケットによって大きく異なる――現地でそれを肌で感じれば、遠く離れたフィールドであっても決して無責任にはなれません。つくり上げるものは、最終的には自分が使うリールでもあるのですから。
「このリールなら大丈夫」。
入念な準備を重ねて巡り合える幾度とない巨大魚とのファイト、そのようなアングラーのこころ躍る最高の瞬間に寄り添うシマノのものづくり。その背景には、いつでも三現主義(現場・現物・現実)を貫くチーム全員の飽くなき探求心が宿っています。