マウンテンバイクに特化した 新しい技術の開発

マウンテンバイクに特化した
新しい技術の開発

1982年、シマノはマウンテンバイク専用コンポーネンツ「DEORE XT」をリリース。まだ自転車業界の大多数がマウンテンバイクに関心を持っていない中、現場の声を採り入れてつくられたDEORE XTは、マウンテンバイカーにとって待望の製品として受け入れられました。その後、マウンテンバイクは1980年代後半から1990年代にかけて、世界中で爆発的なブームとなり、DEORE XTはこれらブームの火付け役となりました。その後もマウンテンバイクを代表するコンポーネンツとして大きな存在感を見せています。

STORY

時代の波を作ったDEORE XT

マウンテンバイクコンポーネンツ誕生の歴史は、1981年当時、シマノアメリカの社長を務めていた島野喜三(のちの株式会社シマノ第4代社長)が、本社にかけた1本の電話からはじまりました。その内容とは、アメリカ・サンフランシスコ郊外で、若者たちが山の頂上から駆け降りるアクティビティが広がっていたこと、そして彼らは走行性を高めるために自ら自転車を改造までしているということでした。

その電話を受け、当時営業企画部長であった島野容三(現社長)が中心となりプロジェクトを立ち上げ、自ら試作品を持ち込みながら、地元マウンテンバイカーらと交流し、現場で情報を集めました。例えば、浅瀬や泥濘を駆け抜ける豪快さ、常識を超えたジャンプの高さ。そしてそれらに耐えうる高い耐衝撃性と防水性、埃や砂に影響を受けない変速性能、何よりも高いブレーキ性能など――これらを満たす機能性を備えたコンポーネンツを生み出すのは容易ではありませんでしたが、試行錯誤を繰り返しながら翌1982年には満を持してマウンテンバイク用コンポーネンツ「DEORE XT」のリリースを果たしました。

発売から4年が経った1986年には、SIS(Shimano Index System)を搭載したM730シリーズを発売。このシリーズにその後、HGギア、Rapidfireレバー、SPD(Shimano Pedaling Dynamics)など、その後のマウンテンバイクを代表する新機能を搭載。これらは、革新的機能を「人にやさしい」かたちで統合することを目指すシマノのシステムコンポーネンツの開発思想・STI(Shimano Total Integration)に結実し、その後のシマノの躍進を生む原動力となりました。

1991年にはレーシング用シリーズとして、マウンテンバイクコンポーネンツのフラッグシップであるXTRを発表。一方DEORE XTは、本格的なマウンテンバイクコンポーネンツとして存在し続けると同時に、当時ヨーロッパで人気のあったトレッキングバイクにも搭載され広がりを見せました。

DEORE XTは常にシマノのマウンテンバイクコンポーネンツの主流として、歩み続けてきました。現在、マウンテンバイクフィールドにもE-スポーツバイクの流れが生まれています。シマノではこれまでのマウンテンバイクコンポーネンツの開発で培った知見をもって、この新しい世界にも最高のソリューションを提供していきます。

SERIES

1982
DEORE XT M700 シリーズ
使いやすさという観点から考えたのが、シフトレバーとブレーキレバーの形状でした。シフトレバーは、親指あるいは人差し指でハンドルバーから手を離さずにシフトできる「サムシフター」タイプに。ケーブルには、当時自転車用では1.6mm径がスタンダードだったのに対し、2mm径のインナーワイヤーを使用。実用を見据えたタフな仕様としました。激しい使い方に起因するガタの発生をできるだけ抑えるとともに、摺動部に泥や水が入らないメカニズム(シールドメカニズム)を開発、それぞれの部品に採用することで、コンポーネンツ全体として対泥・砂性能を高めていきました。
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1986
SHIMANO DEORE XT M730 シリーズ
M730シリーズではSISやBIOPACEⅡに代表されるシフティング技術と、リア(後ろ)用の高出力ブレーキ・U-Brakeを搭載、パーツごとではなくコンポーネンツとしての「トータルコントロール」をコンセプトとしてユーザーに訴求しました。当時の変速は6スピード、各パーツの素材は軽合金でオフロードでは重視したい耐久性を持ち合わせています。この後、730番代でマイナーチェンジを繰り返していきます。
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1987
SHIMANO DEORE XT M732 シリーズ
よりスムーズな変速を可能とするハイパーグライド(HG)ギア、7スピードへと進化したSIS、制動性とコントロールしやすさを高めたSLR(Shimano Linear Response)ブレーキシステムを新たに加えました。
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1989
SHIMANO DEORE XT M735 シリーズ
従来のシフティングレバーを進化させた「Rapidfire」レバーを開発。「速射ち」という意のネーミングどおり、シフトダウン/アップの2つのレバーをハンドル下に配置し、親指だけで素早くシフト操作が可能となりました。さらにレバーは操作後、常に初期位置へと戻るようになっており、最大で一気に6段の変速も可能にするなど、瞬時の判断が求められるシーンで活躍しました。HGギア、SGギア、SISは、SLRと統合することで、STI思想へと繋がりました。
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1994
SHIMANO DEORE XT M737 シリーズ
8スピードに対応。M735で搭載したRapidfireにさらに軽くなった「Rapidfire Plus」を搭載。また、ドライブトレインでは、それまでアウターギア48Tが主流だったフロントチェーンホイールを42Tへと変更し、カセットスプロケットも11Tを採用するなど、コンパクト化した「HyperDrive-C」システムを搭載しました。
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1995
SHIMANO DEORE XT M739 シリーズ
XTR M950で開発されたVブレーキをDEORE XTにも採用。従来よりも制動力が強く、コントロール性に富み、リムに対してシューが直角に当たるため、シューの片減りやダイブインの排除に成功しました。
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1998
SHIMANO DEORE XT M750 シリーズ
マウンテンバイクの正統派としてブラック&シルバーのオーソドックスなデザインを採用。9スピード変速「Mega-9」へ対応。リアディレイラーは11Tプーリーにより、静音性・耐久性とも向上させています。また、シマノのマウンテンバイクコンポーネンツとして、初めて油圧式ディスクブレーキを採用。異径対向4ピストンやミネラルオイル(鉱物油)を採用することにより、高い制動力とコントロール性を発揮しました。
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2003
SHIMANO DEORE XT M760 シリーズ
マウンテンバイクの広がりを受け、走り方に応じたスペックを持つようになりました。また、これまでとは一線を画すダイナミックデザインを採用。機能面では、1本のレバーでシフティングとブレーキングの両操作が可能なデュアルコントロールレバー、鍛造し削り出した金属を加工することで剛性と軽量化を可能としたモノボディ・キャリパーなどが搭載されています。
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2007
SHIMANO DEORE XT M770 シリーズ
25周年をむかえたDEORE XT。マウンテンバイクの楽しみ方がより分化していく中で、さらにバーサタイルに対応するため、クロスバイク用のスペックも発表。より激しいライドに対応するシマノ・シャドー・リアディレイラーを搭載し、とくに障害物によるトラブル回避に貢献。ほかにも軽量化や各パーツの耐久性向上、スピーディーな変速など随所に技術革新の成果があらわれています。また、2010年にはDyna-Sys10スピードドライブトレインも採用しました。
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2012
SHIMANO DEORE XT M780 シリーズ
シルバー仕様とブラック仕様の2モデルを発表。Dyna-Sys10スピードドライブトレインを引き継ぐとともに、ディスクブレーキシステムの熱交換効率を飛躍的に高めたアイステクノロジーを搭載。ブレーキパッドには放熱フィン、ローターには熱電効率の高いアルミ素材を用いるなどし、高い制動力とノイズの軽減を実現しました。
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2015
SHIMANO DEORE XT M8000 シリーズ
Dyna-Sys11スピードに対応。エンデューロを意識したよりアグレッシブな仕様として登場。フロントチェーンホイールでは新型3Dコンポジットチェーンリング構造により、軽量化と耐久性とも向上しました。また、シングル・ダブル・トリプル仕様にも対応しています。長時間のライドでも快適なエルゴノミックデザインで、効率的なシフティングとスムーズなドライビングを実現しました。
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2016
SHIMANO DEORE XT M8050 シリーズ
DI2システムを搭載し、コンピューターによる高精度な電動シフティング(SEIS : Shimano Electric Intelligent System)が可能となりました。これにより、前後ディレイラーのシンクロナイズドシフトが可能になり、最適なギアポジションの選択と、滑らかで素早いレスポンスを実現。システムインフォメーションディスプレイで状況も一目で確認でき、より快適で安心、安全なライドを楽しむことができます。
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2019
SHIMANO DEORE XT M8100 シリーズ
12スピードに対応。さらに進化を遂げたRapidfire Plusシフティングレバーを採用し、さらなる操作性の向上を実現しています。アグレッシブなトレイルライドにも安心して使えるドライブトレイン、また、軽量化とともに、ライダーの好みやライディングスタイルに応じてセッティングをカスタマイズできる幅も広げました。
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