デザインを通じて自転車の新たな可能性を切り拓く
デザイン室
M.T
2019年入社
デザインを通じて自転車の新たな可能性を切り拓く
デザイン室
M.T
2019年入社
小さな部品1つにまでも、こだわり抜いたデザインを施す
父がデザイナーをしていた影響で、私も幼いころからデザインという職業を身近に感じるとともに憧れていました。進学した美術大学ではプロダクトデザインを専攻。ユーザー様が実際に使う場面を想定した「モノ」(プロダクト)の提案から、その体験によって生まれる価値を見据えたサービスなどの「コト」の提案まで、幅広くデザインを学びました。
シマノを知ったのは、高校入学時に両親が買ってくれたロードバイクに、シマノ製品が搭載されているのを見つけたことがきっかけでした。ふと興味がわいて調べてみると、シマノのコンポーネンツにはほかにも多くのグレードがあることがわかり、ロードバイクの奥深さを感じると同時に、シマノ製品に惹きつけられるようになりました。また、自転車店に行ったときなどに様々なシマノのコンポーネンツを見比べると、グレードごとに異なる造形や色で細部までデザインされているのが目に止まり、自転車部品とデザインは切っても切れない関係にあることも感じていました。
そんな中、大学2年生のときにシマノのデザインワークショップインターンシップに参加したことが、シマノへの就職を志望する決め手となりました。外観で目立つ大きな部品だけではなく、複雑で小さな部品の1つひとつに至るまで、すべて丁寧にデザインが施されているのを目の当たりにし、大いに心を動かされたのです。
シマノは製品の機能のみならず、デザインにも非常に力を入れている! 大好きな自転車と自分の専門であるデザインを掛け合わせた仕事がここで実現できる! 私の心に迷いはありませんでした。
自分のデザインを製品化につなげる難しさを実感
デザイナーとして入社後、1年目はロードバイクのコンポーネンツを担当、2年目から現在まではマウンテンバイクのコンポーネンツを担当しています。ユーザーの立場でも、以前はロードバイクでのロングライド一辺倒でしたが、入社後は部署の先輩方にマウンテンバイクライドに連れて行ってもらう機会が増え、今はすっかりマウンテンバイクにのめり込んでいます。基本的なデザインのプロセスはロードバイクもマウンテンバイクも変わりませんが、乗る場面や楽しみ方が異なるので、それぞれの持つ世界観を大切にしながらデザインに落とし込んでいます。
でも、すべてが順調に来たわけではありません。入社2年目に量産化製品を担当した際のこと。自分が実現したい製品デザインは完成していたものの、それを量産が可能な製品の形に落とし込むのが非常に難しく、苦労の連続でした。その頃はものづくりに対する知識も経験も足りなくて、現場の製造のメンバーと密にコミュニケーションを取り、必死に聞き回りながら、どうすれば自分の思うデザインを製品化できるのかを探っていきました。
本社に工場を持っているので、不明な点があればすぐに現場に行き、担当者と直に話ができるのも、シマノのものづくりの特徴といえるでしょう。おかげで今は、その時に培ったものづくりの知識を生かしながら、量産化の業務につなげられるようになったと思います。
1つのブランドモデルのデザインを一貫して担当
シマノのデザインの面白いのは、なんといっても金属製品のデザインができることだと思います。様々な種類の金属を扱い、さらに特殊な加工や処理によって他の素材にはない金属特有の表情を生み出すことができるので、いかにその美しさを生かし、コントロールし、洗練されたデザインに仕上げるかが、難しくもあり、仕事の醍醐味でもあります。
また、自転車のコンポーネンツは、構成部品すべてのデザインの印象を統一するために、1つのモデルのデザインは1人のデザイナーがすべてを担当します。それぞれの部品の機能や性能を際立たせるデザインに仕上げるためには、各部品の開発メンバーと密に連携しながら、デザイナー自身がその性能や機能をしっかり理解しておくことが不可欠です。
自転車の未来をつくる
デザインに限らず、シマノでは若手のうちから大きな仕事にチャレンジできる環境があります。私は入社2年目で、マウンテンバイクの中核となるコンポーネンツのブランドを担当させてもらいました。製品のコンセプト化から量産化までデザインの全行程に責任を持って取り組んだことは、ものづくりの基礎を学ぶ絶好の機会となりました。その間、自分の製品への愛着やこだわりを一貫して持ち続けることもできました。困ったときや問題が起きたときは先輩や上司が親身になって相談に乗り、チームで解決する体制がしっかりと整っているところも、シマノの魅力的な風土だと思います。
仕事を進める中で私が一番大事にしているのは、周囲とのコミュニケーションです。デザイン業務に没入してしまうと、どうしても自分の考えや製品を客観視できなくなります。そんなときは、同僚や先輩、上司に意見を求めたり、関連部署のメンバーと話したりして、頭を切り替えることが大切です。そうすることで新しいアイデアや考え方に触れ、自分の中にある製品の情報を整理し直し、デザインをさらに昇華させることができた経験が何度もあります。
現在は主に量産化製品のデザインを担当していますが、今後の目標は、デザインを通じて自転車の新たな可能性を切り拓いていくこと、そして、新しい自転車文化や自転車の未来の創出に貢献することです。そのために、ゼロから新しいものをつくりあげていくための発想力をもっともっと磨き、先行デザインから量産化までマルチに活躍できるデザイナーになりたいと思っています。
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