大人になって知った「いいもの」の世界
前職の自動車部品メーカーでは、車のエンジンや様々な機能・装置を電子制御するコンピューター、ECU(Electronic Control
Unit)の量産設計に携わっていました。ただ、そこでは1つの製品を多人数で担当する体制のもと業務が細分化されていたので、自分がものづくりをしているという実感や達成感がなかなか得られませんでした。また、安全・品質が最優先となるので、新製品といえども既存品の踏襲が基本となり、私の業務ではゼロから何かを生み出す機会もありませんでした。そうするうち、「今のままでは物足りない。何か新しいものをつくってみたい」という想いが日に日に強くなっていきました。
シマノへの転職のきっかけとなったのは、釣り好きの友人から誘われ10年ぶりに釣りに行ったときのこと。彼はシマノのハイグレードの釣具を使っていたんです。私も小学生のころは釣りに熱中していましたし、大学生時代はロードバイクにも乗っていたので、もちろんシマノという会社は知っていました。しかし、大人になってから「いいもの」に触れたことで、それまでとは違う新しい釣りの世界が眼前に開けた気がしたのです。
興味津々でシマノのことを改めて調べてみると、もう1つ新たな発見がありました。シマノはメカ中心の会社という先入観のようなイメージがあったので、電子部品を用いた自転車部品や釣具の開発に注力していることを初めて知り、大変驚きました。しかも勤務地が東京ということなので、即断即決で応募しました。当然ながら、他社への転職を考える余地はありませんでした。